ここまでのお話:
「母の入院」
「入院生活とねこ効果」 

母親が退院して自宅療養生活にシフトして二週間ほどが過ぎましたが、「寝てはならぬ」ではなく「転ばせてはならぬ」という人が一緒の生活のあまりのストレスに、急性胃潰瘍になりそうでした。
この間、介護関係の皆様のサポート、介護関係者ではないものの、その周辺で各種サポートを提供して下さっている方々の知恵や助言、助力、提案などがなかったら、苦労性の長女気質で神経質な私の方が、確実に先にダウンしていただろうと思います。

このわずかな間、様々な形でサポートして下さった関係者の皆様が、一様に、「ああ、よかった!」と安堵のスマイルを浮かべた場面がいくつかあるのですが、そこに一つの共通項があるのが興味深かったです。

「転ばせてはならぬ」というミッション達成のためには、転ぶリスクが高い場所を歩かせないというのが一つの有効な対策になります。
そのため、特に夜間の歩行を極力避ける目的で、母の部屋にポータブルトイレを置くことにしました。
帰宅した母に事情を説明すると、嬉々としてその日からポータブルトイレを使い始めました。
「今って、こんなハイテクトイレあるんだ!」
と、好奇心丸出しで。そのことをケアマネさんに話すと、
「ああ、よかった!」
何故かというと、お手洗いくらい自分で行けるし、部屋に置くなどとんでもない!と怒る人が結構いるからだそうです。

その次、介護関係者の方から盛大な
「ああ、よかった!」
が出たのは、デイサービス担当者の方に、施設の洗面所では便座に無事に腰掛けるまできっちり付き添って欲しいと説明したときでした。
手すりを使うのを忘れて、中腰でバランスを崩すと、どすんと尻もちをつく可能性があること、骨粗鬆の骨なら、それで折れるリスクがあるからです。
デイサービスの方は、この話をすると、やはり心底安心したといった表情で、
「ああ、よかった!」
理由はやはり、
「個室の中までついて来られるのを嫌がる人、結構いるんですよ~」

そして三つ目の
「ああ、よかった!」
は、訪問美容でお世話になっている美容師さんから。
先日デイサービスデビューした母について、
「出された食事は10割平らげ、出身地と年齢が同じというお仲間を早速みつけて退屈する暇もないくらいお喋りに花を咲かせ、どうやらデイサービスクイーン街道を歩みつつあるらしい」
という話をしたときでした。
「ああ、よかった!」美容師さんは、安堵のため息をつきつつ、そうおっしゃいました。
それというのも、デイサービスの利用についても、なんやかやと気に入らないことがあって抵抗する人がいるためだそうです。

結局のところ、若くて健康でなんでも一人でできたころの自分像から脱却できず、プライドが邪魔して他人様のサポートを素直に受け取れない人というのが、介護関係+プラスアルファのサポートを業とする方々にとって、結構な不安の種&ストレス源になっているのだなと思いました。
サポートすべき場面であることは分かっている、サポートしたいしサポートする知識も技術も設備もある。
しかし、利用者の心理的抵抗に阻まれて、するべきサポートが出来なかった→結果的に利用者がケガをした、コンディションが悪化した…という苦い展開を、少なからず経験している方もいるのではないでしょうか。
その点、受けられるサポートは何でもありがたく使わせていただき、ニコニコ丁重にお礼を言うというスタンスの母は、言ってみれば、介護関係者の方々にとって、とても「サポートしやすい人」なのでしょう。

この話を母にすると、
「下らんプライドだね」
と鼻で嗤い、
「私は何しろ頭がいいし、合理主義ですから。現実に他人様のサポートがないと生活出来ないのに、出来ると意地張って何になる。サポートしてもらえる有難みに感謝しつつ、サポートしてくれる人に余計な負担をかけないよう努めるのが、こういう立場にいる今の自分の義務でしょうが」

この言葉を聞いて、そういえば、私も子供のころ、一連のしつけの過程で、
・現実を見ること
・立場をわきまえること
の2点は、がっつり叩き込まれたよなぁ…と懐かしく思い出してしまいました。
つまるところ母は、自分の子どもにやれとしつけてきたことを、自分でもしっかり実行しているということなのでしょう。
おかげで、自宅での主たる介助者の私も、外部関係機関のサポーターの皆さんも、大いに助かっている…というわけでした。

ここ数日、腰椎圧迫骨折特有の動作時痛が激減して、骨折というイベントがあったことさえ殆ど忘れてしまうくらい普通に動けるようになっています。
このまま順調に回復して欲しいですが、こういうときこそ油断大敵と、ほどほどに締めていこうと思います😌