創造するのは神の仕事であって、人間にできることは組み立てることだけだよ。
振付家のジョージ・バランシンが生前そのようなことを言っていたそうです。
世界的に最も有名な振付家の一人で、「クリエイティブ」と称されることを誰しも当然とみなすような人がこのような考え方をしていたという点が興味深く、これをテーマにした短編アニメを作ったのが四年ちょっと前。
そして、この作品が、海外映画祭に参加するきっかけになりました。

Virtual Instructorのメンバーフォーラムで、「人の真似は出来ても自分のオリジナルを創れない。そうした創造性とはどうしたら手に入れることができるのか」という悩みを相談され、なんとなくバランシンのこの言葉を思い出しました。

何もないところに花という存在を生み出すのは、神様の仕事。
人間は、花の見た目や香りの知覚など、花にまつわる自分の経験、花から想起される様々な事象についての知識や考え、そうした断片を組み立てて、花がモチーフのアートを生み出す。
花にまつわる自分特有の経験や、それを何とどう組み合わせるのか、そのやり方のユニークさが、その人のアートの個性と呼ばれるもの。
そのユニークな組み合わせを他人にもわかるように伝える技術を学ぶのが、人まねも含めた練習。

そう考えれば、いわゆるオリジナルを生み出すためには、画材を手にする前の段階が肝心ということがよく分かるはず。
花にまつわる経験が極めてユニークなものなら、花モチーフの他の誰にも真似できないアートを生み出せる可能性もそれだけ高くなる。
普段の生活の中で豊かな経験を積むこと、経験したことをサラッとやり過ごすのではなく、大事にとっておいて煮詰めること。
本当に自分のものと呼べるアートの創生のためには、こうした包括的なアプローチが欠かせない。
そして、「組み立てる」ことを基本軸とした自分なりのオリジナル創りの方法論をある程度確立できれば、むしろオリジナル作品になりうる無限の可能性に圧倒され、どれを実際に創るかを的確に見極めるという次の難問に直面することになるでしょう。

画像は、その短編アニメ” HE CREATES…WE ASSEMBLE”の一シーン。
オーストラリアとイギリスの映画祭で上映されました。