minne作家活動アドバイザーの和田まおさんは、ここ1年ほど、出店作家さんの個別相談に応じるシリーズをYouTubeで配信しています。
私は、基本的に、「情報収集はするけど相談はしない」という行動パターンなのですが、まおさんにだけは相談してみたいと思い、7月末に相談メールを送りました。

質問の採用率は10%程度と聞いていたのでダメ元でしたが、先日取り上げていただくことができました。
このエピソードです。

ネットショップ運営のノウハウというのは、今ではもう相当洗練されていて、様々なアイデアも出尽くした感があります。
すでにある情報を自分なりに咀嚼し、ギャラリー運営に応用できている自立度高めの作家さんたちにとって、アドバイザーの方がわざわざ時間を割いて下さるとすれば、一番ききたいことは一般論ではなく、
「私のギャラリーの、特にこれについてどうしたらいいか」
なんですよね。
そのニーズにズバリお応えしますというシリーズで、作家さんたちの間では大人気です。

質問を送る前、過去分エピソードを視聴していて驚いたのが、総じて自分に厳しすぎ、自信のない作家さんが多すぎるということでした。
とんでもない技術力と豊富な経験と膨大な時間を、とんでもない安値で切り売りして、にっちもさっちもいかずに悩むというパターンの人が、こんなに多いとは思いませんでした。
私自身は、5月下旬にminneで物販を始めてからというもの価格設定で悩んだことはなく、法外に安い値段で販売せざるを得なくなってモヤモヤした経験もありません。
他の作家さんとも特に交流せずに販売活動をしているので、この手の悩み事がこれほどまでに多いとは、minne LABを見るまで知らずにいたので、一層驚いたというのもあるでしょう。

ではなぜ、価格設定に関して自分がまるきり悩まないのかというと、お勤めしていた会社から受けた影響が役に立ったのだろうと思います。
私が長年勤めていたのは、外資系のサービス業の企業でしたが、「価格競争に巻き込まれない形で差別化を図る」という方針を固持して、業界で世界一の規模まで成長した会社でした。
「お宅、高いですよね」
と、営業スタッフの皆さんは、日常的にクライアントに愚痴を言われていましたが、
「どうなんでしょうね。高いというのは、同業他社と比較しての話で、本当に高いかどうかは、弊社が生み出す価値次第でしょう。我々、値段にふさわしい、いや、むしろそれを上回る価値を自信をもってご提供しますので、どうぞご安心を」
と、涼しい顔をして言い放ち、にっこりきっぱり値下げの要求を瞬殺する清々しいスタイルでした。

こういうスタンスで、我々社員が提供するサービスを会社が安売りしなかったおかげで、恐ろしく利益率の高い会社として急成長を遂げ、結果的に、経済面でも福利厚生面でも、経験できる仕事の内容の面でも、社員は大変な恩恵にあずかれることになったわけです。
それに、サービスの価格を下げないということは、換言すれば、クライアントに社員をいいように搾取させなかったということでもあります。
これがひいては、「社員を安売りしない会社」という点への信頼につながり、その信頼が、モチベーション、エンゲージメントを高く引き上げることになり、
「値段に恥じない成果を出してやろうじゃないの」
と、社員自ら懸命に働くようになるという好循環を生み出していたわけです。

で、よくよく考えてみると、現在、自分のminneギャラリーの運営も、しっかり会社と同じ方針でやってるんですよね^_^;
現在は個人で動いているので、営業、オペレーション、品質管理、カスタマーサポートなど、一人で何役もこなしてはいるものの、好循環を生み出すビジネスの仕組みとして以前の勤め先がやっていた方法を、一つの「型」として、そっくりそのまま踏襲しているのです。
会社が社員の搾取を許さなかったように、自分で自分を顧客に搾取させてはならない。
お勤めしていれば、会社がそれをやってくれるけれど、ビジネスオーナーになったら、他の誰かがそれをやってくれるわけではなく、自分でやるしかないという自覚を持つ必要がある。
そうしないと、最終的には、モチベーション、エンゲージメントが下がって、歩みを進める気力そのものが削がれてしまうであろうということです。

会社の影響以外では、愛読書の影響もあると思われます。
特に、マルクス・アウレリウスのこの言葉。
「隣人が何を言い、何を行い、何を考えているかを覗き見せず、自分自身のなすことのみに注目し、それが正しく、敬虔であるように慮る者は、なんと多くの余暇を獲ることであろう」
「人は各々、自分を他の誰よりも愛していながら、自分に関する自分の意見を、他人の意見よりも重んじないのはどういうわけだろう」

全くその通りですよね。
他の作家さんがどうしているかなんてことは、絶対零度で華麗にスルーしましょう。
そうすれば、あなたの心の中に、大きな「空き」が生まれるでしょう。
その「空き」は、これまでほかの作家さんに対する雑念で占拠され、あなたが自由に使えなかったスペースです。
さあ、他の作家さんがスルー対象になった今、折角手に入れたその「空き」スペースを、どう使いますか。
自分の作品作り、店づくりへの愛とパッションで埋めるしかないでしょう。
…ってね^^♪

ともあれ、自分に厳しすぎ、自信なさすぎ、安売りしすぎの作家さんに何をどうアドバイスするかというのは、非常に難易度の高い課題です。
「もし、私が相談される立場だったら、どう回答しようか相当悩むなぁ」
と思いながら視聴していました。
しかし、まおさんの対応はさすがとしか言いようがなく、こんなアドバイスもらっちゃったら、みんな勇気100倍で仕事に邁進するしかなくなるよなぁと感心すること頻りでした。
そんな経緯があって、自分の質問も送ってみようと思うに至ったわけです。

そして、今回ですが…
私の相談に対する回答も、やはり見事でした。
minne LABのシリーズで、以前、アート系作家の販売活動の「松竹梅」という話が出たことがあります。
作家は、原画、プリント、ポストカードなど、「松」「竹」「梅」に相当するアイテムを用意して、トータルの売上目標のどの程度の割合を各々に割り振るかを決めるというのが基本的なアプローチというお話だったと思います。
今回の私の質問は、梅に相当するアイテムに関するもので、回答の前半は、梅それ自体の認知度と売上を伸ばすためのアクションについてのお話でした。
そして終盤では、
「梅をどうするかという方向性に限らず、松の認知度アップにリソースを投入して、そこから梅に興味を持ってもらえるようにするというやり方」
もいいのではというお話がありました。
このアプローチも、自分自身考えていなかったわけではなく、そもそもアート系作家の販売戦略としては、これが王道中の王道と言ってもいいでしょう。
ただ、現実的にどうなんだろうと思うところもあり、あまり注力する気はありませんでした。
しかし、アート系バックグラウンドを持つアドバイザーさんのお言葉、説得力がずっしり来ました…😅
これから大きな展示も控えていますし、この方向性でやってみるのが一番かもしれません🐈

人に相談しない自己完結型の行動パターンの私ですが、相談してみて本当に良かったです。
相談を持ち掛ける過程で、お相手に自分の状況を分かりやすく説明するために、情報や考えを整理しなければならないこと自体が、相談する意義と言ってもいいかもしれないと再認識もできました。
何が問題か分かれば、半分答えが出たようなものと言いますが、これも本当にその通りですね。
まおさん、ありがとうございました!