海のシーンの見せ方として、
「ダークな海が明るくなっていく様子に光玉」
というアプローチに決めたのは良しとして、それを具体的にどんな方法で表現するかについては、2つの選択肢がありました。

1.ダーク系→明るい系の海の絵をパステルで描いて、光玉も原画にパステルで描き入れる。
2.もし、光玉に動きを与えるつもりなら、1.の方法は使えないため、光玉のない海背景だけをパステルで描いて、光玉は別に作る必要がある。

1.は、以前、作画の実験をやったことがありまして、これが可能なことは分かっていました。
その実験したものが、こちらです:

これは、インスタグラムで、この作品を拝見して、海の部分だけを真似して描いてみたものです。
この作品で、初めて、パステル画でも、所謂被写界深度の表現が可能なんだなと認識しました。

この方法でもいいのですが、この段階では、光玉を動かす可能性を捨てていなかったため、まずは2.の方法で作ってみることにしました。
一度光玉を描きこんだものは、光玉がない状態に戻せませんので…

とりあえず、海用として作画したもののオリジナルが、こちらです:

ファイル名にseaがついているので、当初はこれらは全て、文字通り「海用」に作画したのです。
しかし、アニメの制作が進むにつれ、この色素材、海以外にも幅広く使えることが判明。
想定外なほど使いまわしが利くので、ラッキー!と思ったわけですが…
どこでどんな風に使いまわししたかは、後で実例をもって説明させていただきます(笑)。

海用の素材原画を描く時に、一つ、非常に気を遣った点があります。
それは、普通の海を描く場合よりも、波を思わせるグラデーションの間隔を広くとることでした。
横書き文書の行間を広く取る感じです。

これは、アニメ映像のアスペクト比が16:9なので、デジタル化してこのアスペクト比のフォーマットに使ったときの効果を計算に入れてのことです。

正方形の画像を16:9の横長フォーマットにはめ込む場合、縦か横の寸法に合わせて拡大の上、トリミングするのが、最も典型的なやり方かもしれません。
しかし、描いたものをフルに映像に活用するには、大きく描いて圧縮する方がいいと判断しました。

この作品では、正方形イメージを16:9の横幅にピッタリはまるよう配置した上で、天地を圧縮して、オリジナルの作画素材が一切トリミングされないようにしています。
もし、オリジナルの素材を普通の海のように描いていたら、横のグラデーション幅が狭すぎて、線描状態になってしまったでしょう。