冒頭の海のシーンの話に戻りますが…

今回、CGを使わないと決めていたので、「動く海」なしで、海辺で光玉を眺めているか~やの心情を表現する必要がありました。

以前、CGのオーシャン・シミュレーションで、色々な海を作り、”assorted oceans”という動画にまとめたことがあります。

改めてこの動画を見てみて、やっぱりCGレスにしてよかったなと思いました。
CGの海を使ってしまうと、写実的が「過ぎて」、ここにキャラクターを配置すると、どこからどうみても写実的とは言いかねるキャラクターが悲しいまでに浮くという問題があるのです。

キャラクターと馴染みがいい、ほどよいさじ加減のリアリティを包含する画作り。
かつ、静止画を並べただけの、言ってみれば「紙芝居アニメ」で、キャラクターの心情の動きを表現する。
心情の動きにも、さざ波のようなデリケートなものもあれば、大ショック、撃沈、呆然、爆発的な歓喜等々、非常に大きくなものもある。
そのダイナミズムを、「CGフリーアニメ」でどう描くか。
これは、かなりの難問でした。

冒頭の海のシーンで、まずその壁にぶちあたり、悩みに悩んでいましたが、この辺を制作中のころ、たまたま「マスターキートン」を見ていて、解決の糸口が見つかりました。

あの作品では、第一話からして海のシーンが出てくるんですよね。
幸いなことに、テクニック面では割と古いタイプのアニメなので、CGのオーシャン・シミュレーションなど、勿論使っていません。
海のシーンをよくよく見てみると、単に青い画面を作って、そこに白く光るものをチラチラ揺らしているだけだったりします。

「な~るほど~~~~~~~」
と、思わず声に出して感心してしまいました。
更に、海が沢山出てくるアニメと言えば、「紅の豚」。
これも海シーンをじっくり見てみましたが、なんと、こちらでは、白のチラチラさえなく、紺碧のべた塗に、飛行機が水面を走った後の泡をホワイトで配置しているだけというシーンもあります。

「な~~~~~るほど~~~~~~」
と、更に感心してしまいました。

古いタイプのアニメって、シンプルに説得力のある画作りをする表現方法について学べること満載ですね!!!

これで、海シーンに関しては、白のチラチラを入れるか入れないか、光玉をどうするか、そしてダイナミズムという課題だけをクリアすればいいことになりました。

光玉に関しては、参考写真を沢山ピックアップしてあったので、なるべくそれに近い形で作画すればいいとして、白のチラチラに関しては、結局入れないことに決めました。
というのは、か~やが好きなもの=光玉なんですよね。
白のチラチラというのは、単に、海をロングで見た時に、光玉がつながって見えるだけのものなので、これも入れると、所謂”redundant”、余剰表現になってしまうでしょう。

残るは、ダイナミズムという課題ですが…
海のダイナミズムと言えば、真っ先に揺れる波を想起しますけど、時間的なダイナミズムと考えれば、夜の暗い海→朝の海に移り変わる様子を描けば、揺れる波がなくても、ダイナミズムの表現は可能なんですよね。
海のダイナミズムとそれを見つめるか~やの心情のダイナミズムのリンクという観点からも、暗→明への動きは、このシーンでの選択肢としては、最適と判断しました。

実は、この検討過程で、
「か~やは、明け方から日が昇るまで、そして都合が許せばいつまででも、海の光玉を見ている」
という設定が、後付けで生まれたのです。

画が先に決まり、設定が後付けで決まったところ、他にも沢山あります(笑)。