新しいペン画セットのデザインが決まったので、暮れということをすっかり忘れてせっせとペン画セットを作っているうちに、新しい年を迎えてしまいました。
いわゆる一年の計は、いつもお正月ではなく誕生日に考えることにしていますが、今年はお正月「にも」、一通り頭を整理しておこうと思います。
いつもであれば、この時期は、2月初旬のアニメーションフェスティバルのコンペ部門応募締め切りに向けて、昼夜問わず必死で制作三昧の日々を送っています。
しかし、コロナウィルス感染症の世界的な拡大のあおりを受け、ずっと参加を夢見ていた映画祭が、昨年から軒並みオンライン開催にフォーマット変更してしまいました。
これは、実に面白くない事態です。
アニメ制作は、恐ろしく地味な作業が無限かと思えるほど長い時間続きます。
一作品、作画や音入れ、編集を終えて動画編集ソフトでレンダリングを終え、仕上がった作品を通しで見るひとり試写会。
このひとり試写会を終えた瞬間の解放感と達成感たるや、物理的に身体に本当にガタガタと震えがくるほどでして、これが待ち遠しくて、暗くて地味な制作作業も倦まず弛まず続けることができるわけです。
それまでの生活が地味一辺倒だっただけに、完成した時のはっちゃけぶりはひどいものです。
私は、インディペンデント制作者で共同制作者が誰もいません。
従って、はっちゃけるにしても、ひとり打ち上げになります。
夜間の外出は基本的にキライなため、東京在住時は、お昼時に月島のスペインクラブに繰り出して、昼間からサングリアやワインをかっくらって、一番高いランチセットをぱくついていました。
私の中では、一つの作品をめぐって一番盛り上がるのがこの時期で、その次くらいに盛り上がるのが、映画祭への参加なのです。
映画祭に参加する楽しみは、多岐にわたります。
自分の作品が上映される会場に出向いて、運営の方から紹介され、観客の皆さんに挨拶し、質疑応答を行ったり。
現地のラジオ局にほかの作品の監督さんたちと一緒に出向いて、映画祭を紹介・宣伝する番組に出演したり。
映画祭関係者パスというものを受け取って、フェスティバル期間中、上映作品を全部無料で見られるとか。
映画祭関係者ということでどっさりいただけるギミックで、現地の観光、食事、エステを心行くまで楽しんだりとか…。
アメリカ コロラド州デュランゴの放送局にて 関係者パス ギミックの中に現地の蒸気機関車チケット割引券があり、乗ってみました これに乗りました! 映画祭開催地のワイナリーにて、監督たちのパネルディスカッション 地元高校生対象のクリエイティブ教育プログラムにも参加 現地エステ!ギミックで10%オフのチケットがあったのですかさず利用! 上映会場となった映画館の映写室
で、「オンラインフォーマットの映画祭」で、このうち一体何パーセントを経験できるというのか。
どうせ参加するなら、オンラインより絶対にリアルの方がいいです。
従って、今年必死で制作して締め切りに間に合わせるよりも、選出されればリアルの映画祭に出られる年のコンペに出品しようと思います。
映画祭というのものは、実は、年がら年中、世界中で開催されていますので、感染症をめぐる情勢次第では、今年後半からでも、リアル開催の映画祭がぽちぽち復活してくるかもしれません。
応募したいコンペの状況を見つつ、いつもよりゆっくりペースで制作を進めていこうと思います。
制作を急がなくて済むということは、大きなプラスの側面もあります。
今の私の目標は、世界最高峰のペン画アニメなので、そもそもペン画の技術を世界最高峰レベルまで引き上げるだけでも、相当な時間が必要です。
私が現時点で世界最高峰レベルのペン画ロールモデルとみなしているのは、イタリアのGiulia Ferretti氏、そして、米国アトランタ在住のSong Kang氏です。
ただ、Song Kang氏は、作画方法に少し特殊なところがあるため、参考としてより重視したいのはGiulia Ferretti氏の方です。彼女のテクニックは、すでに自分の作品で一部活用させていただいていますが、今後はもっと徹底的に模写をして、自分の作品にどう生かすかを検証します。少なくとも、このレベルのペン画で作画全体を統一できなければ、イメージしているような仕上がりの映画にならないため、この想定外の事態で与えられた時間的余裕は、この方面での努力に振り向けます。
そして、私自身がペン画の技術を磨けば磨くほど、副産物たるペン画セットの難易度も果てしなく上がっていくことでしょう…。
アイキャッチの画像は、海外映画祭初参加のオーストラリア開催のキャンベラ短編映画祭の一シーン。
上映会場の私の席から、ステージを撮影したものです。
五百年の睥睨パステル版 – ねこのおなか
"[…] なお、この絵には、ボールペン画バージョンもあります。 […] "
再び公開批評コーナーに – ねこのおなか
"[…] 7月の批評コーナーデビューから3か月経過して、再びVIの公開批評コーナーに登場です。前回同様、今回も指摘内容はポジティブなことばかりで、従って、これといって私自身のスキルアップや今後取り組む作品に関する何らかの示唆が得られたというわけでもありません。公開批評コーナーで取り上げられる作品は、作者にとって、そして視聴者にとって参考になりそうなものなので、講評担当のMattとしては、どちらかというと私以外の受講生にあの内容を伝えたかったのかなと思いました。例えば、これは、葉っぱが密集しているシーンに光が差し込んでいるだけの場面で、いわゆるfocal pointを決めてそこに見る人を導く仕掛けを作るのが非常に難しいシーンであること。にも拘わらず、このように極めて分かりやすいfocal pointを上手く引き出すために、コントラスト、focal pointの位置設定、そして、周辺にそれとなくガイドラインを散りばめている構図上の工夫といった指摘がありました。が、これは、マダガスカルの陽光というブログ記事で説明した通り、参考写真ですでにfocal pointがハッキリしているため、特に意識して作画したわけではありません。ただ、公開批評コーナーに寄せられる質問の中に、確かに、参考写真を見てもこれと言って明確なfocal pointがない場合、どのように作画の工夫をしたらよいかという内容のものがチラホラあります。従って、Mattとしては、そのいい具体例としてこの作品を使いたかったのかもしれません。その他、コントラストにあまり差がないものが重なり合っている場合、それぞれのオブジェクトが持つエッジを何らかの形で示唆しないと場面に埋もれてしまうような場合、この作品のような処理の仕方をするのがおすすめという話もありました。この作品で言えば、重なり合う葉っぱが該当しますが、このような場合、縁取りをする代わりに、重なり合う部分のコントラストをほんの少し、部分的に変えるだけで十分に見る人にエッジの存在を伝えられるとのことでした。この点に関しても、自分で撮影した写真をじっくり観察した結果、実際にそうなっていたので、それを忠実に絵に反映しただけです。ただ、やはり人によっては、こうした処理も当然のことではなく、無造作に黒で縁取りしてしまう場合があるのでしょうね。そういえば、過去の二百を超えるエピソードの中で、肖像画で首にできた影を真っ黒に塗りつぶした作品を見たことがあります。そこは暗いオレンジとか、淡い茶色に紫と黒を混ぜるとか、何かあるだろうと思いましたが、影=黒という思い込みの人も少なくないようです。 […] "
再び公開批評コーナーに – ねこのおなか
"[…] 7月の批評コーナーデビューから3か月経過して、再びVIの公開批評コーナーに登場です。前回同様、今回も指摘内容はポジティブなことばかりで、従って、これといって私自身のスキルアップや今後取り組む作品に関する何らかの示唆が得られたというわけでもありません。公開批評コーナーで取り上げられる作品は、作者にとって、そして視聴者にとって参考になりそうなものなので、講評担当のMattとしては、どちらかというと私以外の受講生にあの内容を伝えたかったのかなと思いました。例えば、これは、葉っぱが密集しているシーンに光が差し込んでいるだけの場面で、いわゆるfocal pointを決めてそこに見る人を導く仕掛けを作るのが非常に難しいシーンであること。にも拘わらず、このように極めて分かりやすいfocal pointを上手く引き出すために、コントラスト、focal pointの位置設定、そして、周辺にそれとなくガイドラインを散りばめている構図上の工夫といった指摘がありました。が、これは、マダガスカルの陽光というブログ記事で説明した通り、参考写真ですでにfocal pointがハッキリしているため、特に意識して作画したわけではありません。ただ、公開批評コーナーに寄せられる質問の中に、確かに、参考写真を見てもこれと言って明確なfocal pointがない場合、どのように作画の工夫をしたらよいかという内容のものがチラホラあります。従って、Mattとしては、そのいい具体例としてこの作品を使いたかったのかもしれません。その他、コントラストにあまり差がないものが重なり合っている場合、それぞれのオブジェクトが持つエッジを何らかの形で示唆しないと場面に埋もれてしまうような場合、この作品のような処理の仕方をするのがおすすめという話もありました。この作品で言えば、重なり合う葉っぱが該当しますが、このような場合、縁取りをする代わりに、重なり合う部分のコントラストをほんの少し、部分的に変えるだけで十分に見る人にエッジの存在を伝えられるとのことでした。この点に関しても、自分で撮影した写真をじっくり観察した結果、実際にそうなっていたので、それを忠実に絵に反映しただけです。 […] "
夢風舎 – ねこのおなか
"[…] 樹の野生にあまりにも時間がかかってしまったので、何かシンプルなものをと取り組んだのが、こちらの夢風舎です。 […] "
樹の野生 – ねこのおなか
"[…] この作品で一番苦心惨憺したのは、幹のいたるところに無精ひげのように生えている短い草です。五百年の睥睨パステル版の記事にも書きましたが、厚塗りしてしっかりとレイヤーを作ってしまったところに、細い線で描写するには、パステルペンシルでは全く役に立ちません。今回は、生えている草に使う色のパステルを幹の上に重ね塗りして、五百年の睥睨パステル版で草原を描いたときと同じ手法で、カラーシェイパーを使って画用紙上で草の成形をする方法で描きました。 […] "